熱帯夜

女として女に愛され愛したい

同性パートナーを持つ職員は、福利厚生が受けられないという現実

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今月もまた、私の子どもが死んだ。
ナプキンについている、生理初日の茶色いおりものを見ると、そんな風に思うのです。

 

「もういい?」
「来ない?」
「赤ちゃんできない?」
「いいね?」
「くずれるよ」
「じゃあね」

そんな風に喋っているかもしれない、私の剥がれていく子宮の内膜たちを思うのです。そしてその中で息絶えた、私が産むはずだった命を想うのです。

ママ、今月もあなたを産めなかったよ。会いたかったな。大好きな同性パートナーとの子どもを、1度でいいから孕みたかったな。 

 

gladxx.jp


まず思ったのは、あぁ私もどこかに不服を申し立てたときには『同性パートナーを持つ都道府県職員』という言い方でニュースになるのか。ということ。見出しはやっぱり『ふうふ』ではないし、『配偶者』でもないのか。パートナーが同性だと、物事を分けて考える必要があるのか。なんの不服をどこに申し立てればいいんだろう、とも。

出ました、世帯

 

sultrynight.hatenablog.com

 

sultrynight.hatenablog.com

 

世帯が同性カップルに関係あるのかないのかはっきりしろよ。都合のいいときだけ世帯マウントとってくるのやめろ。政府や都道府県の制度に関係するときだけ『同居人』でいてください。それ以外のときはどうか『赤の他人』でいてください。ねぇ、そんな風に言われる人生、生きてみたい?

 

 

私が住んでいるところでは、同じ職業で休暇についてどうなっているのだろうと調べてみました。全部『配偶者』と書いてあってまた死にたくなりました。でも記しておくね。

 

  • 「要介護者」とは、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、孫または兄弟姉妹、職員と同居している父母の配偶者、配偶者の父母の配偶者、子の配偶者又は配偶者の子で負傷、疾病又は老齢により2週間以上の期間にわたり日常生活を営むのに支障がある者をいう。


いま現在の状態(介護休暇を使えない前提)で読んでも、「もしもパートナーが要介護者になったら、パートナーの家族が要介護者になったら、私にはなんの休暇も与えられず年休を使って休むことになるのか。職場への説明はどうしよう」となるけれど、同性パートナーを配偶者に含めると都道府県が言ってくれるだけで、「権利を守られている」「そのときはお互い様だな、仕事頑張ろ」って思える。なぜ私たち同性愛者は、差別されているのに怒れもしない社会なんだろうね。最初から諦めしかなかった。

だから今回、『都職員』として不服を申し立てているこの仲間のことを、泣きながら抱きつきたいぐらいに応援している。一緒に怒りたい。都だけでなく、道でも府でも県でも、全ての場所で我慢しながら、悲しみながら、堪えることしかできずに、誰かの(当たり前に与えられた)結婚休暇に拍手をして、誰かの(当然のように使うことのできる)家族休暇に手を振って、誰かの(できちゃっただけでも、もれなくもらえる)出産祝い金を引き出し管理職に渡している職員が、見えないだけで、たくさんたくさんたくさんいるということ。

 

  • 配偶者には、事実上婚姻関係と同様の事情にあるものを含む。
  • 「父母」とは実父母・養父母・義父母(配偶者の実父母・養父母に限る)をさす。
  • 「子」とは実子・養子・義子(配偶者の実子・養子に限る)をさす。

だって。こんなのどこに確認すればいいんだろうね。

「私の都道府県では同性パートナーとの関係を事実婚と同じだと扱ってくれますか?」聞けるのなら、今のうちに聞いておきたい。

「同性の場合は『同居人』なので無理です。何も適用されません」

私の大切な家族に何かがあったときに、そんな風に言われてショックで泣き出してしまう前に。職員室にある、ありとあらゆるものを叩いて、壊して、叫んで、暴れてしまう前に。かわいくて愛しい子どもたちから、離れた世界を選択する前に。

私たちは卵子同士で子どもができなければ産む選択をしていないけれど、例えば何かの拍子に産む決意をしたとしても、自分が産むことしかできない。パートナーが産んだ子どもでは私の養子にしない限り、その子が熱を出したときも休める制度がないし、入学式にも卒業式にも授業参観にも個人懇談にも使うべき休暇がないし、けがをしても病気をしても当然のように休む権利を与えられていないのだから。

机の上には先月届いた喪中はがきが3枚。
私も出そうかしら。
職場の全員に。
毎年。