熱帯夜

女として女に愛され愛したい

新型コロナウイルスによるパンデミックでより鮮明になった同性カップルの現実

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今までを振り返ると、色々なことを考えたくなくても考えてしまうコロナ禍でした。

私の仕事は感染症にはある程度、敏感でいなければならない職業です。中国でこのウイルスが流行り始めた頃、WHOが「ヒトからヒトに感染るとは言い切れない」と発表した辺りから、この感染症がパンデミックとなり世界中で大混乱が起きるのだろうという予想を執務の記録に書いていました。それでも自分の職業や、護りたい子どもたちにどんな風に影響してくるのか。さらにまさか自分の家族にまで簡単に会えなくなるときがくるなんて。そこまでを現実的には予想していなかった。

それともう1つ。同性同士のカップルである私たちを守る制度が日本には「結婚」以外に無いに等しいことを、こんなにも身近に感じることになろうとは。世帯の件もまた然り。結婚もやっぱり家同士の結びつきであることはおかしいな〜って思うの。小さい頃から最近まで何の疑いもなく憧れてたけど。

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結局この記事に書いていた1世帯30万円の件は無くなって、1人あたり10万円の給付になったわけだけど。でもそれも、基本は世帯主の銀行口座に振り込まれるという謎制度。世帯って本当に何。同性カップルがお金の流れを一緒にしていても(同一世帯であっても)、なにかしらで損する日本の仕組みって何。これが差別でなくて何?

10万円もの大金が、私たちの子どものように6年も一緒に暮らしている犬には振り込まれず、ついこのあいだ産まれたばかりの子どもに振り込まれる仕組みは何。いるだけで尊い命なのは一緒でしょ。*1いつか日本人として誰かの役にたつ人間となるから?私たちはその命を養育する権利も十分に与えられていないのに、望んでないけどできちゃった子どもには給付されるの。なんで?

ドナーや協力者から命のもとをもらって産んで、実際に育てている同性カップルはたくさんいる。ステップファミリーも。多様な形の家族がいるのに、日本は配偶者や男女の夫婦しか守っていない。私たちは誰かから命のもとをもらってではなく、育てるならどちらとも血の繋がっていない養子を迎え入れて子育てをしたい。それができないのは日本のそういう(同性カップルをいないことにしている)制度だったり、偏見だったり、まだまだ2人の愛情だけではどうしてやることもできない世の中だから。その子が幸せかどうかを決めることだから、そうだなぁ、今は男女の夫婦で言えば避妊しているような状態。

避妊しなければならない状態なのは、自分たちの経済的自立や親になる覚悟が足りないせいじゃない。日本の制度や仕組みがそうさせている。私は大人として働いているけれど、子どもたちの給付についての会話にも入れず、家庭の話にも入れず、周りに壁を作っているただの『1人暮らしの安定しない女』として化けながら生きる選択肢しかない。

今日も帰ったら家には子どものような犬がいて、生活を共にする同性パートナーがいる。世間では男女であればこれを夫婦と呼ぶけれど、同じ女性同士というだけで法律上では赤の他人同士とみなされている。先程の記事に書いた通り世帯を分けたから、それぞれが世帯主となって給付金の手続きを行い、それぞれの口座に別々に振り込まれる。

世界がいくらパンデミックで混乱したとしても、「私たちの関係ってなんなんだろう」と考える時間が多くなることまでは、想定できなかったんだ。これを機に、想定してくれる人が自分たち以外にも増えるといいね。想定しようとわざわざ思わなかったとしても、想定せざるを得ない事例がたくさんたくさん出てくるといい。私たちの関係が可視化されるといい。困っているから、とても。悲しいから、とても。やるせないから、とても。

 

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*1:これはさすがに草だったと書き終えてから思うw 犬と子どもを真面目に引き合いに出すのは草w でもね、子どもを育てる選択肢がもっと私たちの身近にあったら、いま愛犬を娘のように愛している気持ちと同じぐらいの愛情で死ぬまで包んであげたいのに、と思うの。