思春期、仲が良かった男子が「男」になっていく過程を見るのが気まずかった。
私が「女」を好きになる性的指向はきっと生まれつきで、中学生の頃に女子に初めて恋をした。幼馴染の先輩だった。ただそこに行き着くまでは、もちろんまだまだ子どもで、小学生の頃には恋愛感情というものが理解できなかった。
みんなそうしているから、なんとなく女子と一緒にいたけれど、でも私は面白くて優しい男子が大好きだった。いつも笑わせてくれて、くだらないことで盛り上がれて、とにかく小学生高学年の頃の楽しさったらなかった。からかわれたり、ちょっかいをかけられることも好きだった。お互いに面白がって、たくさん話した。
小学生低学年の頃は、それこそ男子とばかり遊んでいた。お人形遊びよりもテレビゲームが好きで、いつも男子の家に遊びにいっては64でスマブラとかマリカーをして遊んでいた。女子は陰湿で怖かった。男子はあっさりと付き合えるし、誰と遊んでてもヤキモチとかやいたりしないし、一緒にいて心地よかった。
自分がレズビアンだったから、余計に切ない気持ちになったのかもしれない。男子が「男」になっていく過程が。私のことを「女」だと認識してよそよそしくなり、女子の胸の大きさとか顔の可愛さとか、「女」として品定めされることが、その頃からもう苦痛だった。今になって分かる。自分がレズビアンだったから余計にだったんだ。
私は同性愛者だから、他の女子(異性愛者)だちが、男子のその思春期特有の変化をどう思っていたのかは知らない。でも私は、それを気まずいだとか、ちょっと嫌な気持ちだと思っていることは誰にも話したことがなかった。いまになってやっと、このブログを読んでいる人たちに話せた。とても、気まずかったです。
もちろん中学生ともなれば、あんなに友達として仲がよかったと思っていた男子に告白されたりした。無意識に「えっなに、どういうこと、気持ち悪い」と思ったけれど、多分、周りのこのピンクな話についていかないといじめられる、変な人扱いされる、と思って流れに乗り、首を縦に振った。
キスをされたのも、その頃が初めてだった。まだ私が男子だと思っている「男」とするキスは、正直なところ「何も感じなかった」。唇が合わさって、舌が絡められる。私にとっては、ただそれだけの行為だった。確か相手は息を荒げていたように思う。学校なのに。どうして?あんなに楽しく遊んでいたのに。こんな風に制服の上から胸を撫でるのは、どうして?「男」と「女」ってなに?
訳が分からなくなって、逃げた。
また別の日も、いつも通り男子と思っている「男」の家に遊びに行ったら、急にベッドに押し倒されて「いい?」と聞かれた。「いやなにが!!?!?!」
逃げた。
私にとって、彼らが期待しているような心の変化がなくて、ついていけなかった。レズビアンだったからなんだね。社会の刷り込みによって自分がレズビアンだと気付けないまま、あと7年ぐらいはこういう経験を繰り返すんですけどね。
私の思春期には、同性を好きになる性があるなんていう情報がどこにもなかった。異性愛の枠組みの中で、女子から「女」になっていく同性愛者がどう振る舞ってきたのかは、いま思えば結構しんどい現実だった。
小学生の頃の彼らと、もう1度、心から遊んでみたいな。