熱帯夜

女として女に愛され愛したい

【DVD感想】『東京ゴッドファーザーズ』

こんばんは、mira(@mirara_l) です。

 

私たちと『パプリカ』の出会い

 

今日はhoneyが「久し振りに映画でも観る?」と誘ってくれて、『東京ゴッドファーザーズ』を観ました。私たちは、今敏監督の『パプリカ』という作品が大好きで、一緒に観た日が懐かしいです。私はhoneyと出会う前に声優の林原めぐみさんの大ファンだった時代がありまして(今も勿論ファンですが、昔ほどの熱量はなく、とても信頼できる大人だったという思い出と共に生きています)、パプリカ。過去に観ていたんです。


honeyの方はというと、某ヒラサワ氏の大ファンで、そこからパプリカへと。要するに、別の部分から今監督の作品に興味を持って、一緒に観たわけであります。ヒラサワ氏の音楽が更にあの世界観を広げ、よく出来た愛らしいストーリー性に、一気に惹き込まれた私達。『パプリカ』は、私達の中で何回でも観たい重要な作品となりました。

 

いつの時代も新しく多様であってほしい家族の形

 

今回観た『東京ゴッドファーザーズ』も、すごく良かった。honeyに言われて気がついたのですが、今監督の作品には、ゲイだったりオカマ(作中で本人が自分をこう呼んでいるのであえてこう呼ばせていただきます)だったり、マイノリティーな人物が普通に出てきて時間が流れていきます。今回は、家族についてもきっと少数派である彼らの日常を描いた物語でした。愛に溢れていて、人間味があって、少数派であるかどうかというのは、家族を作る上で正解とか不正解ってないんだなって思わせてくれる。

今さん……なんでそんなにも早く逝ってしまったんですか。いま、何十年経った今も、こうしてあなたの作品に影響される人間が生きています。上から見えているんでしょうか?

今監督の思いや生き方に2人で想いを馳せながら過ごす夜は、とても幸せでした。honeyの希望通り、『夢見る機械』がいつか映像となって観られることを期待しながら生きることとします。現実に向き合うのがイヤになるけれど、こんな風に、できれば隣で、honeyと会話ができていられれば、この先も穏やかに人生を過ごせるんだろうな。

 

東京ゴッドファーザーズ

東京ゴッドファーザーズ

 

 

【DVD感想】『西の魔女が死んだ』

原作を読んだ後ならではの再現度の高さに驚く

 

映像化されていたんですね……。他の方の本の感想を読んでいる際に、知りました。今は、素晴らしい傑作を観て、目がすごく腫れている状態です。ひっくひっくしながら泣いたのは、久し振りだったわ……。

原作を読み終わったときも、もう本当に涙無しには読み終えられなかったのですが、そのときは外出先だったのかな、思いっきり泣けない状況でした。今回は終わりが分かっているからこそ、おばあちゃん役のサチ・パーカーの演技、視線、表情に途中から既に涙がポロポロと。だって映像化されていると知って、公式サイトを観にいったときから、この作品の世界観にピッタリの音楽、雰囲気に圧倒されて泣いていたぐらいだもの。

本当に、原作に忠実で。私が小説を読んだときに頭の中に広がった世界そのものが映像になっているんだからびっくり。この作品に出てくるおばあちゃんのオールド・ファッションさって、今の時代には確かに不釣り合いだけれど、今の時代だからこそ、そういう生活を大事にしているおばあちゃんの姿に、まいちゃんはいろいろと感じ取ったんだよね。

 

未来の世代の背中を見守り、押してやるという勇気

 

まいちゃんは大きくなっていって、おばあちゃんが知らない未来を生きていく決心をする。それを見ているおばあちゃんの目がもうなんとも。言えなくて。私も自分のおばあちゃんにあんな目をさせていた過去があるのかしら。まいちゃんと話しているのにおばあちゃんが亡くなったおじいちゃんに語りかけるような台詞がひとつあるんですが、そこでもう涙腺崩壊していました。

次の世代が人生を生きていく、ということは私がおばあちゃん世代になったときにどんな風に映るんだろう。少し、切ないのかな。悲しいのかな。喜ばしいのかな。どんな感じなんだろう。どちらにせよ、おばあちゃんにとって死ぬときまでずっと、まいちゃんは宝物のように大切な存在だったに違いありません。魔女からの最後のメッセージには、まいちゃんへの愛情が全てつまっていたように感じました。

小説の方もおすすめだけれど、この作品は映像の方もかなりおすすめです。どちらから読んでも、観ても、心に暖かい光が灯ることは間違いなし。2008年に映画化されていたそうですね。あれから8年経っていても、こうして出会うことができたことに感謝。Amazonプライム会員で良かったわ。

西の魔女が死んだ [DVD]

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【映画感想】『キャロル』

あぁ…こんな恋愛映画だって分かってたら。

私にとっては身近な女性への憧れ、惹かれ合う過程がこんなにも美しく正確に描かれた映画がこの世に出現したということに感動した。テレーズを演じるルーニー・マーラが言うように、「これは同性愛の物語ではなく、ふたりの人間が自然に恋におちて、お互いを必要とする物語」であることには間違いない。

ひとことも、レズビアンだ同性愛だバイセクシャルだという単語は出てこない。ただ純粋にひとりの人間に惹かれて恋におちていく美しい物語。

2人の間に障害があって、何が正しいのか自分でも分からなくとも、自分の気持ちには嘘はつけなくて、優先順位を考えればどうしようもないのも当然で。最後までバッドエンドなのかハッピーエンドなのか予想がつかなくて、苦しかった。

原作の小説ではテレーズの視線で描かれているけれど、映画ではテレーズからキャロルの視点に変わっていくというドット・ヘインズ監督のこだわりが、個人的には好き。愛は弱者の視点で語られる、という観点にも納得がいく。

私は弱い立場の者が、何かを乗り越えるために(それは失恋だったり痛手だったり)強くならなければならない、というシチュエーションにめっぽう弱い。ドラマの中においても、自分の人生においても。なんだかとても意味のあることに感じてしまう。弱者が強くなっていくことで愛を語る視点が変わり、少しずつ関係性も変わって、また新しいふたりになっていく。怖くて堪らないのに、初めて恋愛をしたときのような昂揚感を感じる。

キャロルの感想から少し逸れてしまったけれど、想像していた作品とは全く違い、いい意味で裏切られた。もしもDVDが出たら、私の本棚にそっとしまっておきたいな。原作の方も、このたび映画の公開に合わせて邦訳されたようなので、機会があったらぜひ読んでみたい。

何よりこの作品、1950年代の世界観が本当に素敵。作品全体を通して夜明けのような薄暗さがあって、雪が似合う。家具や小物のくすんだ色合い。当時の空気や匂いまで感じ取れそうなぐらいなので、ファッションや小物にも注目してほしい。いや、注目しなくとも、映画を観たらすぐにその世界観に魅了されること間違いなし。