熱帯夜

男も女も犬も子どももいる世界で過ごす、私、miraの物語。

過去の自分を受け止めようとして死にそうになることがある

台風が去っていきました。先ほどまで、家が壊れてしまうのではないかと思うぐらいの暴風雨だったのですが……今は、離れて暮らすhoneyと愛娘(犬)の方に行ったようです。自転車並の速さだって聞いていたから、もっと長引くかと思ったんだけどなぁ。とにかく、急に静けさが訪れたため、こうしてパソコンに向かっています。どうかあの子たちが台風のうるさい音に起こされずにぐっすりと眠っていますように。

今日、ふと感じた怖さについて思うままに書きます。

私の周りでいま、「結婚・出産」など、レズビアンで人一倍そういうものに憧れている私が聞くと辛いワードが飛び交っています。しかもそれが親族内だから逃げられないし複雑な気持ちになる。はぁ……。レズビアンでも結婚する権利がある世の中なら、順番通り長女の私が1番に結婚しているのに。カムアウトしていない親戚に、お姉ちゃんはまだなの?という視線を送られるのが、本当に辛い。「できるもんならとっくにしてるよ……」という言葉を飲み込むのはとてもストレスで、レズビアンであることがバレないように隠そうと取り繕って笑えば笑うほど、自分で自分の心を切り刻んでいるような暗い感情が芽生えるのです。ド田舎で育っているので、周りからのその哀れむような視線が私だけにではなく、両親にも向けられることを知っています。

ごめんなさい、と思う。レズビアンに生まれてごめんなさいと思ってしまう。そしてそう思う度に、私がもしも昔気質の父親にカムアウトしたら、どうなるんだろうと考える。もう何千回、何万回もシミュレーションしていることですが。レズビアンであることは自分で選んだわけではないし、ましてや育て方なんていうものは、私の性指向には全く関与していないことは明らかであるのに。きっとレズビアンにしてしまってごめん、と思われるか、信じてもらえない、取り合ってもらえない、むしろ無かったことにされるか……。私が死にたくなるほど思い悩んでいることを知っても、受け入れてはもらえないのだろうか。

は~!暗い暗い!でもね、こういう話題を真剣に考えだすとね。私の性格上こうなってしまうんですよ。あーあ、パパに受け入れてもらいたい。私の大切なパートナーを、長女の嫁として扱ってほしい。大切な妹の結婚式に、どうして私の嫁は参列できないんだろう。

そんな私の気持ちを読んだかのように、優しい妹からは「本当は○○ちゃん(私のパートナーの名前)も呼びたいなって思ったんだけど……。お姉達が式を挙げる時は呼んでね」というメッセージをもらい。その気持ちが嬉しいね、とhoneyと共有しました。

大切な家族の門出を、一緒に祝えない現実。私とhoneyは気持ちだけで繋がっていて、法的に結ばれていないから。そして社会や国が、同性愛者に対して差別をしているから。だからいま、私たちは世間から見たら他人、よく言って知り合いか友達程度なのでしょう。私たちと同じように他人同士であるにも関わらず、紙切れ1枚で社会に配偶者になったのだと宣言できる、結婚制度を使える人たちが羨ましい。いつになったら私たちの手に入るのでしょうか。

そして、ブログの最初に書いた「怖いこと」についてですが。いま現在、無意識の差別が蔓延るこんな社会でも「LGBT」という言葉を皆が知るようになっていて、人々の認知は少なからずある状態ですよね。この社会には、自分たちとは違って同性を好きになるという、不思議でちょっと理解できない人たちがいるものだと。それぐらいは分かっている人が多いんですよね。

そんな状況でこれからいざカムアウトする状況になったとき、私が大学生になるまで自分がレズビアンだと「気が付かなかった」と言ったら、果たして誰が信じるかなぁということ。

本当に「気が付かなかった」んです。ずっと女の人が好きだったのに。好きな女の子と話すためには、仲良くなるためには、「男の子を好きでなければいけなかった」。(男女の)恋バナがないと親密になれなかった。好きな女の子への気持ちは憧れだと、言い聞かす毎日。自分で自分を洗脳する。そんな時代だったんです。自分が女の子しか好きになれない性指向で生まれついたなんて、頭の片隅にもなかった。こんな風に情報が多い社会じゃなかった。レズやホモは気持ち悪くて不思議な人、あまり良いものではない人たちだと、強制的異性愛の社会の中で刷り込みを受けていたのです。

私が初めて付き合ったのは、男の子。そもそも自分がレズビアンだとは気付いていないし、周りに合わせないといけないから。男女が付き合うことが普通だと思い込んでいたから。私は女の子への淡い気持ちを抱いたまま、特にときめきもしない男の子といつか結婚するものだと思っていた。だから家に、彼を連れてきたことがある。それを見た父親が、私自身も気が付いていなかったというのに、どうして娘が今さらレズビアンだと言って信じるでしょう。

そんなこんなでカムアウトしても、きっとレズビアンであることを「選んだ」と思われてしまうのがオチなんだろうなと半ば諦めの気持ちです。その頃のLGBT、いや当時はセクマイ(セクシャルマイノリティ)と呼んでいた頃のことなんて、もう今の時代の人たちは忘れているような気がするんです。その頃に自分がレズビアンだと気が付いた私たちは、今となっては過去の若者。今はもう、高校生でも中学生でもSNSに「(L)GBT」なんて書いている世の中です。自分で自分の性指向が分かるぐらいに性的少数者の情報がある社会になったんだ。よかった。まさかこんな歳で、あの頃は……なんて話をするとは思わなかったぐらいのスピードで、認知が進んでいます。

だからこそ、今の時代に「LGBT」の存在を知ったであろう父親に「自分がレズだと気が付かなかったなんてありえない。思い直せ。男にモテないのか?男が怖いのか?女に走るなんて頭が狂っている」。そんな風に思われたくない。私を大切に思ってくれていることは小さい頃からずっと感じてきたから、信じていても、怖いんです。怖い。怖くて堪らない。

気付いた当初は、一生隠していくんだ、隠さなければいけないんだと強く思っていました。でも、時代はどんどん変わっていきます。変わっていくのに、父親の中では「昔、男を連れてきたことのある年頃の娘」なのです。

パパに、紹介したい人がいます。モー娘。のハッピーサマーウェディングを、純粋な気持ちで聴いていた頃、私も今の若者のように自分がレズビアンだと自認していたら。彼を連れてくることもなく今の父親を混乱させることはなかったのに。もしかしたら、男に興味がないのか?と思ってくれたかもしれないのに。

高校生だった私が、一生懸命、強制異性愛の社会に溶け込もうとしていた痛々しい姿を、三十路になって少し大きく成長した私が受け止めるつもりで立っているけれど、それでもまだ、一緒に野垂れ死んでしまいそうになるときがあります。それをいつも救ってくれる人が、いまの恋人であるhoneyなのです。ちょっと遠いところに一緒に住んで、こんな考えを感じる隙がないぐらいに、趣味や楽しいことに没頭したい。「あまり落ち込まないで、いずれ一緒に住めるよ」っていう、あなたの言葉一つで救われています。

 

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