熱帯夜

女として女に愛され愛したい

たすけて

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それは誰のための言葉なのかしら

 

あなた達は「今じゃない、今じゃない」と言うけれど。じゃあ果たしてこの先、わたしに「今だ、行け!」はくるのか?

父親へのカミングアウトに関する話をカミングアウト済のストレートの人たちに話すと、よく言われるのが「今じゃない気がするんだよね」という言葉。わたしのことを思って、きっと最悪のケースを想定して言ってくれているんですよ。ありがとうね。だからこそ、このやりきれない思いをどこにぶつけていいのか分からない。わたしを困らせたくて言っているのではないと分かるから。あなたたちがわたしの性的指向を受け入れてくれた瞬間、わたしに生きていく希望を与えてくれた人たちだから。

でもね、わたしは自分がレズビアンだと気づいたときからもう何百回、何千回、何万回と、その最悪のケースを想定して、もちろんあなたたたちに言うときだって怯えて、怖くなって、逃げて、の繰り返しのなか生きてきた。要するに、自分で自分にたくさんの「今じゃない」を言い聞かせてきた。それをまた他の人に「今じゃない」と×印を突きつけられるのは正直、もうウンザリ。わたしと父親にとっての「今」を、一体この世の誰が確信できるんだろう。

 

「こういう社会だから。割り切って考えなきゃ」←???

 

そんなこと言ってる場合ではないでしょう。人権問題なんだよ。ていうかそれ、言葉の暴力だ。我慢しなきゃいけないときがあることも、焦ってはいけないことも、今わたしにできることが少なすぎるのも、そんなのぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ分かってる。全部分かってるからこそ、もうどう動いたらいいのか分からない。できることは自分なりに何だってしているよ。でもこれは「今じゃない」と心配してくれる、あなた達の人生じゃない。わたしの人生なんだもん。焦るよ。

心の病気になりそうなのに、なかなかならないよ。イヤんなっちゃう。心の病気という最悪の事態にすら、父親へのカミングアウトのきっかけを探してるんだから。

 

ひどく傷ついた、忘れられない言葉


中学生の頃に好きだった先輩に、大人になってから、「あなたの結婚式には出られない」と伝えたときに返ってきた言葉を、今でもはっきりと覚えている。その人の結婚式に招待される少し前に、私は同性愛者であり、あなたのことが過去に好きだったと伝えた。

「今、こんな社会なんだから、しょうがないでしょう。あんたがなんて言ったって。人の幸せを祝う気持ちと、あんたがそう(レズビアン)だってのは、関係ないよ。アタシだからいいけど、毎回そんなことしてたら、いつか友達無くすよ」

……と言われたんですねぇ。あのときは、「自分が祝いたい人ぐらい、ちゃんと自分で選びます」っていう捨て台詞を言うのが限界だった。そして「もう、二度とあなたとは連絡を取りたくない」と伝えるのが、精一杯だった。でも、いまだから分かる。断言できる。関係ないことなんて絶対にないよ。レズビアンだからという理由で、(わたしにとって不可能な“結婚”という理由のみでしか)実家を出られず、好きな人と一緒にいられない。生まれてきたときから持っている性的指向によって、こんなに人生が縛られてしまうなんておかしいよ。そんな状態で人の幸せなんか悠長に祝えるかよ。

こんなの変だ、あってはならない、おかしいと声を上げると、「仕方がない」「こういう世の中だから」という答えしか返ってこない社会なんて、本当どうかしてる。クソくらえ。こんな悲しい会話をこれ以上、大事な人たちとしたくないんだよ。たすけて。