熱帯夜

女として女に愛され愛したい

この指輪の呼び方を誰か教えてください

こんにちは、mira(@mirara_l)です。

今日は指輪を購入した日のことを書きます。私たちが二人で選んだ指輪は一体なに指輪なのか、どう呼べばいいのか、誰にも分からないのでしょうが。

兎にも角にも、指輪を購入しました〜〜〜! 嬉しい!


購入したのは、トレセンテさん。親しくしていただいている、大好きなフォロワーさんが、このジュエリーショップを紹介してくださったのです。

 

私たちと指輪

 

私たちは出会って16年が経ち、一緒に暮らし始めて6年目の女性同士のカップルです。ふうふと呼んでいいのなら、ふうふ関係にあります。

社会や国から「新婚生活」や「結婚生活」と言うべき期間を取り上げられています。婚姻した者同士として社会的に過ごす権利だったり、異性愛者には当たり前にある〇〇生活と名前のついたそれら。異性のカップルはきっと意識もしないであろうそれら。(最大級の嫌味を込めて)おかげさまで、新婚の期間がいつの間にか終わっちゃってたなぁ……という感じ。

一緒に住み始めた日とか、出会った月とか、節目節目の記念日はあれど、「付き合った記念日」は正確にはなくて、昔から一緒にいる感じなので、わざわざ指輪を購入する機会も今までなく。

(もちろん結婚記念日もないことは分かりきっているだろうけど書いておくね! 社会のせいで私たちの結婚記念日はないよ! )

今まで「なんで結婚しているのと変わりない関係なのに、左手の薬指に指輪がついていないだけで勝手に独身と決めつけられてあなたを隠さないといけないの! わーん!」と本気で泣いたことなんて数えられないほどあり、そんな私を宥めるように、パートナーからそういう意味の指輪を贈ってもらったことは何度かありました。でもペアではないし、カミングアウトしていないからつけたまま日常を過ごせない。

田舎暮らしの地方公務員という立場では仕事上、どこでも、誰とでも繋がり、またその人たちがさらに誰かと繋がっていて、そういう中で嘘をつき続ける自信も勇気もないのです。小さい頃から私を知っている人たちと同じ職場になることも多くて、旧姓のまま指輪をつけ続けている奇妙な女として噂されることが手に取るように分かる。指輪一つでこんなにも振り回される人生って何? そもそも、なんで結婚できん?

前置きが長くなりましたが、今回、指輪の購入に踏み切った理由は、

 

  • パートナーの誕生日にプレゼントしたかったから
  • 異動希望を出したことで、違う管轄の職場で働けると思ったから

 

アレです、知らない人だけのところにいけば、パートナーと一緒に住んでいるということだけでも嘘をつかずに済むかなって。今の職場での私は、実家の近くに犬と暮らしている一人暮らしの女。現実は事実婚の中にさえ入れてもらえないクソ社会です。

まぁ、新しい環境でも指輪をつけていったらつけていったで、今度は「なんで籍を入れないの?」とか「なんで事実婚を選んだの?」とかいう質問に苦しむことになるのは想定内ですが……。

それでも、大切な人と同じ指輪を、お守りのように常に身につけていたかった。ママとパパがつけていたのと同じように。私は女性のパートナーに愛され、愛しながら、何にも変え難い尊い毎日を送っているっていう証のようなものが欲しかった。

てことで、数年前から細々と情報収集をしていました。そして大切な指輪を買うときには、どうしてもLGBTフレンドリーなお店で購入したかった。

 

トレセンテの安心感

 

素敵なコンセプトやデザインのジュエリーショップを訪れても、最終的にはたくさんのマイクロアグレッション*1に遭ってきたから。どうしてもスタッフさんからの無意識の差別に傷つきたくなくて「最初から」信頼できるお店がよかったんです。

トレセンテさん (@trecenti_flora)は、Twitterでも #結婚の自由をすべての人に 訴訟のことを積極的にリツイートしたり反応したりしていて、企業として、すべての人が婚姻の権利を使えるようになることを応援してくださる姿勢が、とても心強い存在でした。

↑ 当事者的に、あまりにも救われませんか?(泣)仲間外れにされないって、こんなにも安心することだったの? 私のパートナーを勝手に「彼」だとか、隣にいる同性を勝手に「ご友人」だとか決めつけられないって、安心できすぎる……(泣)こういう企業にお金を落としたいんです。フォロワーさんの言葉をお借りするなら、買い物=選挙だから。

様々なところで「彼氏は?」「旦那さんは?」と勝手に決めつけられて呼ばれる中、公式がどんなときでも(もちろん異性同士のカップルだったとしても)「パートナー」「お相手様」という呼び方をしてくれるのは、それだけで安心できること。


(管轄外異動に関しては結局おじゃんになってしまい、せっかく買ったのに、毎日つけていけないという地獄が待っていたというのは、またいつかの記事でお話しますね……)

 

パートナー生誕祭2023の内容

 

パートナーは星とか天体とかが好きなので、プラネタリウムを見に行きました。カップル用の寝転がれるシートを予約していたので、二人で広いスペースでゆっくりと物語に没入できる環境で最高すぎたよ。

語りとストーリーと音楽が全部バランスよく共鳴していて、その世界観にうっとり。文学作品と天体が合わさると、どうしてこうもロマンチックなの。パートナーにプレゼントしたはずだったのに、自分も便乗して楽しんでしまいました。へへ。

カップルシートは4席。
私たち以外は男女でしたが、暗いからあまり気にならなかった。



▲ しっかり物販もチェック。
天体物のグッズって、なんか可愛いよね。



▲ 好きなものを買ってもらい、ご満悦のパートナー。

 

いよいよトレセンテへ……!

 

少しおめかしをして、いざ。

ホテルの中にあるらしく、入り口がなかなか探せず、フロントで尋ねて辿り着きました。想像よりもこじんまりとしていて、イメージカラーの深い赤で統一された店内が、すごく素敵。

てか何が良かったってさあ!!!(大声)

女同士で入店することにひどく緊張して喉が渇いていて、空元気みたいなテンションを出しちゃう私たちだったのに(主に私)、スタッフさん全員が自然に迎え入れてくれて、それだけでも安心するのに、わざわざ個室に通されなかったこと……(喜びの涙)

私たちは隠れるべき存在でもないし、隠されるべき存在でもない。普通に、他のカップルと同じように扱ってほしいだけで、それが初めて叶った……(泣)こちらが個室を準備してほしいと思うシチュエーションでない限り、普通でいいんすよ、普通で。

他の男女のカップルと同じように席に通されて、ごく普通に対応してもらう。女性同士だからって特別なことはなく、連名でウェルカムカードを用意してくれて、お水の提供を受けて。普通に、何もかも本当に普通に対応が進んでいく。初めましてのスタッフさんなのに、私たちカップルの指輪の購入に至った決意を喜んでくれたり、付き合いの長さにうっとりされたり。なんて素晴らしい空間だったんだろう、いま思い返しても。

「普通に対応してもらう」。そんなことに感動してしまうほど、普段の生活での中では、それらが1つも叶わない。きっと今日でも、指輪を買いにきたという名目がなければ、私たちは街でカップルと扱われる機会が一切ない。

でもこんな素敵なジュエリーショップという非日常的な空間にいたら、そんな事実に胸がキュッとする時間は少しもありませんでした。初めて本物のジュエリーを選びにきたということに、どうにも心が落ち着かない二人だったね。

▲ 手書きで書いてくださった、ウェルカムカード。
あたたかいきもちになりました。


対応してくださった店長さんが、一つひとつ、私たちが納得できるように丁寧に提案してくださったおかげで、これしかない!というデザインに出会うことができました。本当にありがとうございました。

何より指輪の付け心地の良さにびっくり仰天でした。紹介してくれたフォロワーさんが先に教えてくれていたというのに、二人でテレビショッピングばりの反応をしてしまって笑われてしまった。

もしもここで指輪の購入を検討されている方たちがいらっしゃったら、公式サイトとかを見たり、実際に行ってみて聞いたり感じたりしてほしいので詳しくは書きませんが、すごくこだわって作られたものなんだなぁということが分かったんです。

こんなに一緒にいるから反応も似てくるし、好みもなんだか似ちゃって、そこにも「さすがお二人ですね」と笑顔で応対してくださる、優しい笑顔の店長さん。

本当、さすがにね。16年も一緒にいればね。でも私たちは、ふうふじゃない。結婚ができない。なんでだろう。こんなにも嬉しそうに指輪を眺めているこの人が愛おしくてたまらないのに。



「……私たちは、何指輪を買おうとしているんだろう。」



店内に飾ってあったレインボーフラッグと、店員さんの胸についたプライド色のバッジ、そして私たちが最高の買い物をできるようにと一生懸命サポートしてくれる店長さんの対応が、そんな風に闇堕ちしそうな心を救ってくれるようでした。

 

デザイン

 

流れるような曲線が指をより美しく見せてくれる、フェミニンなものに決めました。プラチナの輝きが指に馴染んでとってもきれい。

私はそれこそ、両親の指にいつも見ていたシンプルな石なしのデザインのものが憧れだったので、シンプルなデザインのものに。パートナーは、キラキラしたものが大好きで憧れだったそうなので、表面に輝くダイヤを嵌めてもらうことに。

来店前からずっと検討していた双子ダイヤモンド*2を指輪の裏にそれぞれ嵌めてもらうことにして。

二人のイニシャルと、本当は私たちの結婚記念日になるべきだった、一緒に暮らし始めた大切な日、「3.3」の文字の刻印をお願いしました。

 

結婚できる日まで

 

初めて会ったあの日、お別れの前に私はパートナーをこのカフェに連れてきたそうです。ここに寂しい思い出しかないとのことだったので、ふうふになったいま、再び訪れてみることにしました。

緊張と寂しさでケーキの味もコーヒーの味も分からなかった頃の二人は、こうして長い時を経て一緒に暮らし、人生を共にしています。

たくさんの時間を重ね、たくさんの気持ちを共有し、でもたまにお互いの気持ちが分からず、激しい喧嘩をして、譲り合ったり認め合ったり。

それでもご飯を食べて一緒のベッドで眠り、お金を稼いだり、税金を納めたりする。それぞれの家族を大切に思い、一緒に大切な命を育てている。

何を理由に私たちの関係を否定できるのか、何を理由に私たちを認めないと言えるのか。

自分が暮らす国の政治家から「見るのも嫌」「隣に住んでいるのも嫌」とヘイト発言を浴びせられ、生産性がないから税金を使う必要がないと罵られ、そんな考えを自分に向けられるのが怖いから、職場ではカミングアウトできずに、たくさんの我慢をしている。自分ではない仮面をかぶって暮らしている。

その結果、女性であること、また独身であることで、同性からも異性からも、心無い言葉をかけられたり、性的指向を勝手に決めつけられたりする。

よく生きてるよ本当。私たち、本当によく生き延びているよ。今日も、誰も死なないで。せっかく買った指輪を常につけられない私も、必死で生きるからね。

 

 

*1:小さな攻撃性。人と関わるとき、相手を差別したり、傷つけたりする意図はないのに、相手の心にちょっとした影をおとすような言動や行動をしてしまうこと。(引用元:マイクロアグレッション | SDGs用語集 | 一般社団法人 日本ノハム協会

*2:数億年もの時を共に過ごした2粒のダイヤモンドを、パートナーと二人だけで分かち合います(引用元:トレセンテHPより)