熱帯夜

男も女も犬も子どももいる世界で過ごす、私、miraの物語。

レズビアンとピル

私とピルとの出会い

 

突然ですがレズビアンまたはバイセクシャルの方で、ピルを服用されている方っていますか?わたしは服用して5年ぐらい経ちます。服用の理由は異性愛者の方たちとは違って、避妊や月経の時期をずらすとかではなく、月経前症候群(PMS)の治療のため。

服用する前までは女性ホルモンというか月経に振り回される人生でした。生理周期にしっかり合わせた肌荒れ、スプーンで卵巣をえぐられるかのような激しい排卵痛、人と目が合うだけで怖くて泣けてどう帰ればいいのか分からなくなるほどの精神不安定、階段を降りる度に痛み、サイズが2カップほど変わる乳房の張り、1時間ちょいで夜用が真っ赤になるほどの経血過多、当然のごとく鈍くしつこい月経痛、マクドナルドのLセットを2つは食べられてしまう食欲過多など。だからピルや月経前症候群という病名との出会いには本当に感謝しています。

それでもピルを服用するにあたって、副作用の出る時期は辛かった。副作用が出るか出ないか、またその程度は人それぞれだと思いますが、わたしの場合はアレかな……やっぱりホルモンに左右されやすい体質だったのかな…悲惨でした。吐き気がすさまじく、夜も眠れないほどでした。つわりってあんな感じなのかな?だとしたら、やばい。妊娠やばい。

 

病院へのカムアウト

 

そして服用したての頃は、5年ぐらい前…というと、LGBTという言葉を当事者のわたしでも聞いたことのない時代ですから、『わたしレズビアンなんで、妊娠とか結婚とかの話しないでください!』なんて医者に言えるはずもなく。当然のような顔で話されるんですよね。「いずれ赤ちゃんを作ろうと思ったときにやめても、妊娠に影響ないから大丈夫」とか、「結婚して子ども作るまでは続けて飲んでてね」とか。

それすらもストレスで堪らなく、泣きながらある看護師さんに話したっけな。家族や友人以外にカムアウトしたのはそれが最初で最後です。その方はいつも気さくに話しかけてくださって、わたしのことを思い出しながらLGBTの講習会なんかにも参加してくれたらしく。LGBTのポスターが院内に貼ってあったときには心がじんわり温かくなりました。

それからも同じ病院に通っていますが、カルテには書いてあるんでしょうね、わたしの性的指向のこと。その看護師さん以外はそこに触れないように必死な感じを醸しだされていて正直辛いです。受付でも、医者と話しているときでも。これね、第三者は被害妄想に思えるかもしれませんが、レズビアンをとりまく産婦人科の現実なんですよ。

最初に病院にカムアウトしたときには「まだ家族の誰も知りません」だった現実は、「母親も妹達も理解してくれています」に変わりました。あの頃付き合いたてだったパートナーとは将来を約束する仲になりました。しかしわたしの現実は、あの病院では止まったままなんです。3ヶ月に1回、診察を受けなければなりません。妊娠の予定を聞かれるでもなく、パートナーとの関係を気にされるでもなく、「産後ケア」だったり「赤ちゃん」や「ママ」の気配がたくさんある産婦人科へレズビアンとして行かなければなりません。

 

レズビアン・バイセクシャル女性専用の婦人科の提案

 

これから生まれてくるレズビアン・バイセクシャルの女の子達が安心して通えるレズビアン・バイセクシャル専用の婦人科がそこらじゅうに溢れている未来がくるといいな、と本気で思います。わたしたちの時代ではおそらく無理でしょうが。日本では、数は増えてきているとはいえ、2人の関係をオープンにしながら出産・子育てをする同性カップルはまだまだ少ない。日本では社会的な保証がない。日々大変な思いをされて壁にぶち当たりながらも必死に子どもを守ろうとしている同性ふうふの家族たちが生きづらい社会です。

一方で同性で子育てをしづらいこの環境によって、子どもを持ちたくても持てない同性カップルの中で、一生低用量ピルと付き合っていかなければならない体質のわたしのようなレズビアン・バイセクシャル女性もたくさんいるでしょう。そんな人達にせめて、通いやすい婦人科を提供してほしい。性同一性障害の診断云々とはまた違った、レズビアン独特の通院に対する悩みでした。