熱帯夜

女として女に愛され愛したい

ブログ名の由来ならぬ、本の紹介

『熱帯夜』

今日はこのブログにそう名付けた由来をお話しましょう。

わたし自身、学生の頃からずっと本を読むことが好きでした。江國香織さんの著書に出会ったのは、もういつのことだったかなぁ。初めて読んだのは、『神様のボート』でした。

……感動的だった。あんな風に誰か一人を静かな執着で愛してみたい、とか、母親と子どもは全く別の生き物なんだ、って感じることができたのは。漠然と考えていたことが、真実としてこの世に存在することを知ったような衝撃を受けました。愛情って本人以外が見ると、ときに狂気にも見えるんですよね。それでもわたしはそれに憧れたんです。

それから読み漁ると言っても過言ではないほど、ほとんどの作品を読んで。出会ったのが『号泣する準備はできていた』という本です。その中にこの"熱帯夜"というお話が収録されていて。レズビアンのカップルの話なんです。

 

号泣する準備はできていた (新潮文庫)

号泣する準備はできていた (新潮文庫)

 

 

江國さんの書かれる物語には、そうだな…社会でマイノリティ(少数派)と思われるような人がさらりと出てくる。それでいて彼らはマジョリティ(多数派)の人たちと何ら変わりなく、会話をし、食事をし、恋愛をし、性交をし、一緒に眠り、いたって懸命に人生を生きている。あの頃は社会がLGBTに対してこんなにも寛容ではなく、情報も少ない中でレズビアンとして日本で生きていくという女性のロールモデルがなかった。でも江國さんはすでにレズビアンカップルの日常を書いていました。号泣する準備はできているのに、それでも共に生きていくべき同性同士の切なさを文章にしていたという事実に、これまた惹き込まれてしまいました。

この人は、人を愛するという基本的で単純な感情を、登場人物の性的指向について関係なく書くことができる、素晴らしい感性を持った人なんだなって。でもそれだけ影響を受けた人なんです。有名なところだと『きらきらひかる』にはゲイの夫が出てきますし、『チーズと塩と豆と』では、食事にまつわる話の中でゲイカップルが一緒に旅行をする様子や感情を書いている物語が読めます。

 

きらきらひかる (新潮文庫)

きらきらひかる (新潮文庫)

 

 

チーズと塩と豆と (集英社文庫)

チーズと塩と豆と (集英社文庫)

 

 

時間がないと言い訳をしているけれど、読書習慣の中で江國さんの本を改めてこの歳になってから読み返してみるのもいいかもしれませんね。本を読むことはわたしにとっての生きがいです。honeyが絵を描いている隣で、娘(愛犬)を撫でながら静かに本を読んでいたいな。