熱帯夜

女として女に愛され愛したい

【観劇感想】舞台『煉獄に笑う』を観てきました

この夏、最大の思い出ができました。私たちがずっと楽しみにしていた舞台『煉獄に笑う』を観てきたので、レポを書きます。9月10日に大千秋楽を迎えた舞台『煉獄に笑う』略して煉ステ。最ッ高にステキなエンターテイメントでした!

 

 

画像:舞台『煉獄に笑う』最新メインビジュアルが解禁&追加公演決定! | 【煉獄に笑う】 | アニメイトタイムズ

 

原作は未読。分かっている情報は、前に玉城裕規さんや細貝圭さんが出演していた舞台『曇天に笑う』と同じシリーズもので、同じ作者さんが描いている漫画の2.5次元舞台であること。そして『Sin of Sleeping Snow』で私たちが完全に惚れてしまった西田大輔さんが脚本と演出を手がけるということ(私は西田さんと拡樹くんのタッグが観られる……!と分かっていた上でチケットをおさえたのですが、honeyはチケットを取ってだいぶ経ってから気付いたようで、知らなかった!と、はしゃいでいましたw)。それぐらいでした。

細貝さんや玉城さんが好きな私たちは過去作の、舞台『曇天に笑う』という作品がずっと気にはなっていたけれど、なかなかDVDを観る機会もなく。この笑うシリーズのストーリーもキャラクターも設定も全然分からない状態。まさに予備知識0で挑みました。

The・2.5!という感じで、しばらく前から見ていたビジュアルにも気合いが入っており、当日がものすごく楽しみでした。浅田舞さんが女優に初挑戦というニュースを観た方も多いんじゃないでしょうか?推しの鈴木拡樹さん演じる石田佐吉(のちの石田三成)の眉毛だけはどうか当日、緑になっていますように……と祈りながら。

今回の劇場は、サンシャイン劇場。池袋です。私たちカップルはオタクなので池袋が大好き。でもやっぱり観劇前に物販を見たりしたかったので、なかなかゆっくり池袋を回ることはできませんでした。同人誌、久し振りに買い漁りに行きたいなぁ……。

初めてサンシャイン劇場に行くので、なんだか迷いながらも流れるように到着することができました。劇場の外にあったでっかいウルトラマンが印象的でした。劇場の隣でウルトラマンフェスティバル2017をやっていたみたいで。次の日に高橋健介さんがそのでっかいウルトラマンと一緒に写真を撮っていたのをツイートで見て、前日だったから惜しかったなぁ……とw

何はともあれ、無事に物販の列に並ぶことができました。honeyは私とは真逆の性格で、何時間も前に着いていたいタイプなので、私がとろとろ準備をしているとちゃんと急かしてくれて助かっています。ありがとう。物販ではずっとずっとこれを買うって決めていて。

 

画像:舞台「煉獄に笑う」オフィシャルホームページ / 2017年夏、上演決定!出演キャストやゲスト出演者、公演日程、チケット情報など

 

じゃーん!Tシャツです!西田さん脚本・演出の『Sin of Sleeping Snow』のときに買おうか迷って買わなかったことを後悔したTシャツ……。すごい欲しかったの。作品ごとに凝ったデザインで、物販で売っているTシャツってほんとかわいいですよね。いつまでもその作品の熱量とか感動とか、観劇した思い出を忘れないようにするためには、身につけるものがベスト。

無事に買えて満足です♪それから、拡樹さんのブロマイドと、本作のパンフレットをゲットしました。他のメンバーも全部ビジュアルが好きで迷ったんですが>< とりあえずは私はこれだけ。honeyは何も買わずに(←これが観劇後にああなるとはねえ……w)。

劇場内に入るとやっぱり、西田さんの舞台だ〜!と思えるような、気持ちが昂ぶる音楽をBGMに、スクリーンに映った作品名の中を紅葉がハラハラと落ちていく映像が流れていて、きれいだった。ずっと見ていられました。舞台が始まる前の独特なモヤモヤした白い霞が会場全体を包んでいって、現実がどんどん離れていきます。隣にhoneyがいることが幸せだ、と確認して、iPhoneの電源を切って待機。上映まではお嬢様方のおしゃべりがひとつの音楽みたいになった空間に身を預けます。

 


会場全体が暗くなって、何の合図も無いのに私語がサァっ……と止んで、大きな音と光で物語が始まるともう、そこからは身体と心が煉獄の世界に自然と惹き込まれていって……。

幕間に顔を見合わせると、見事にお互いの泣き顔が浮かび上がりました……(笑)推しを観にいったはずなのに、推しとかそういう単体の楽しみ方じゃなくて、物語全体に惹き込まれていきました。キャラクターの背景が分からないところがちょっとずつあればあるほど、原作を読みたいと思ってしまいました。これが面白い。2.5。

 


西田さんらしく、殺陣がこれでもか!ってほどに散りばめられていて、観ていて全然飽きません。拡樹さんが演じる石田佐吉は、今まで強い役での殺陣がほとんどだったせいかとても新鮮。斬られるわ倒されるわ落とされるわ……あんなにハラハラしたのは初めてです。でも、すごく忠誠的で、頑固で石頭で真っ直ぐで、ひとつそれをすると決めたときの彼の強さというのは、どの石田三成にも共通するのかな。ひとつの風となって会場全体に吹きわたっていました。

佐吉と双子の掛け合いも絶妙でした。個人的にビジュアルを見た限りでは、佐吉はあの子たちの主人にあたる存在かと思い込んでいたので、契りを交わすときに「ああ……なるほど、こういう関係として契りを交わすのもありよね。ていうかむしろこの方がしっくりくるわ……」と妙に感心してしまいました。拡樹さんは『三人どころじゃない吉三』のときもそうだったけど、契りを交わすのが似合いますね、作品中で。

そうそう、敵役の八它烏の皆様をかなり好きになってしまった。とくに、釣本南くんの演じる百地亜湖ちゃんがすっごく可愛らしかった!舞台『幻の城』のときに、拡樹さんの演技を見て憧れツイートをたくさんしていた南くん。そのあとの、もっと歴史を知りたくなるシリーズでもツーショットをアップしては嬉しそうにしていた南くんが、今回その拡樹さん演じる主人公に悪っぽさ全開でグイグイ攻めていく。

 

もうあのときの芝居初心者の南くんじゃなくて、中性的な亜湖ちゃんという役を立派に自分のものにしているプロの役者さんでした。芝居を仕事にしている感〜すごい〜。演技がむちゃくちゃ好みだった!あの太ももは反則ですよね……。あんなにきれいな太ももは、彼にしか無理だ。正面から見るとおかっぱなのに、後ろ髪は下の方で1本でリボンで結ってあるというかわいらしさも百点満点!

八它烏のみなさんの殺陣も、それぞれ武器や戦い方が独特で……たくさん研究されたんだろうなぁ。研究というか、原作を読んで背景や人間関係なんかをかなり深く勉強して、多分それぞれ自分が演じるキャラクターを心から愛していたんだろうなぁというのが伝わってきました。Twitterにあがる写真が、仲が悪そうで実は仲がいいのも微笑ましかったです。

双子に関しては、あの二人の声がシンクロするのが絶妙で、鳥肌が立ちっぱなしでした。二人とも声がいいんだ声が。そしてビジュアルが麗しいんです。すごく、おキレイ。この子たちの生い立ちを、もっと詳しく知りたい。だから原作を読みたい。殺陣が本当にきれいなの!隙がなくて、うつくしい。激しいアクションで着物の裾がはだけるのも、もはや芸術でした。

この作品は女性キャラクターがとても強い、というのも気に入った点のひとつです。前島亜美さん演じる双子の片割れ・曇阿国、山下聖菜さん演じる八它烏の百地桜花、浅田舞さん演じる芦屋弓月、この3人がとても強い。最高でした。女が強いのってほんとに最高。

浅田舞ちゃん、スケート界から演劇界へ、というニュースを見たときにはびっくりしたけど、とても頑張っていました。多分、主人公と同じぐらい長い台詞。よくあそこまでしっかりと覚えられて……すごいなぁ。きっと根が頑張り屋さんなんだろうなぁ。とことん手を抜かず、緊張感をもって演技をしている姿が印象的でした。

そして、中村誠治郎さん演じる、島左近も殺陣がすんごかったです。あの得物、客席側にブォンって飛んでこないかとハラハラしたけど、もう体の一部みたいに彼の手に馴染んでいて。ぐるぐるブンブン回る回る。観ていて気持ちのよい戦闘シーンでした。あの熱量はやっぱり生じゃないと感じることができないよなぁ。

西田さんを筆頭に、チームが一丸となっていい作品を作ろうとしているのが風に乗って伝わってくる、最高に楽しい舞台でした。拡樹さんが『Sin of Sleeping Snow』で西田さんと共演して、それからまたすぐに、こうして二人が一緒に創る作品を観られたことが、幸せでした。

honeyはやっぱり美しくて化粧映えのする男の人が好きみたいで、観劇後に崎山つばさくん演じる曇芭恋のブロマイドを買いに走っていたんですよ(笑)ここで買わなきゃ絶対に後悔する!って。舞台って、本当に観劇してみないと分からないですよね。その間にDVDの予約を済ませて、劇中歌である和楽器バンドの『雪よ舞い散れ其方に向けて』を頭の中でリピートしながらhoneyの後ろ姿を眺めて待ちます。後日iTunesで購入した二人でした。

 


観劇後は、心にエネルギーをもらって、充実した満足感いっぱいの気持ちでおそばを食べました。二人で最高だったね!どこどこのアレがさ〜なんて話す時間までが、舞台観劇。

 

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ありがとう!煉獄に笑う!
笑って生きるよ!

 

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推しの結婚や恋愛についてレズビアンの私が考察してみた

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最近、推しの一人が自身の結婚観をブログに書いた。困った。モヤったのよ。突然、ものすごく。でも改めて考えると今までもこういう感情に何度か遭遇していて初めてじゃない。なんだろう、これ。夢女子の嫉妬かな?と思っていたけど、どうやらちょっと違うようなので、ブログに書いて頭の中の思考を整理してみる。

 

まず、そもそも私はレズビアンだ。女として女を好きになる。推しを彼氏にしたい、とか旦那にしたい、とかいう感情は無いのだ。ただ愛でたい。頑張っているのを応援したい。推しの演技に、推しが作り出す空間にただ感動していたい。なのになぜモヤる?

 

モヤモヤの正体

 

モヤモヤする感情を、もう少し掘り下げて観察してみた。そうすると自分の中に「あんなにかっこいいのに、なぜ異性を好きになるの?」「もったいない」「がっかりだ」という気持ちがあることに気付く。

 

えっ、これ、普段自分が言われたくないこと・思われたくないこと・嫌悪を感じることと全く同じじゃないか、と愕然とした。自分も無意識とはいえしっかりと同性愛を押しつけているじゃないか。びっくりした。でも同時に、こうしてびっくりして反省する人は、多数派の異性愛者の中にどのぐらいいるんだろう……と考えると反省していることがなんだかバカらしくもなった。

 

普段異性愛者に囲まれた暮らしをしているとよく耳にする言葉。何回言われたか分からない台詞「もったいないよねぇ、男にモテそうなのに」。それはいまだに実の母からだって言われる。

 

例えばきっと、飲み屋で好意をもって話しかけてきた男の人に自分が同性愛者だと言ってやんわりと拒否したら「ガチでレズ?いや何それきもちわる。萎えるわ、がっかりした」と言い放つんだろう。

 

人間、自分の性的指向に合わせた考え方になりがちだし、感情があるんだから自分とは違う考えに嫌悪するときもあるだろう。それを当たり前のように意識せず言葉にできる人たちは、つまり異性愛者の人たちは、やっぱりこの社会で優遇されていると思うよ。

 

一方、性的少数者の考えは普段から多数派の意見に埋もれがちなので、「(本当にこんなこと思っていいのかな……)」「(声にして言っていいのかな……)」と、考えて考えてひたすら考える。

 

推し(男)に対して、仲良くしている人(男)に対して、「いい男にモテそうなのに、もったいない」「男に(を)抱かれて(抱いて)ればいいのに。がっかり」などという発言は、なかなか簡単にはできない。

 

同性愛者の自分が考えを言葉にしたり文章にしたりするときの、なんだか言い様のない肩身の狭さ。多分これこそが、推しの結婚やら恋愛について考えるときの、モヤモヤの根本なのだ。

 

SNSの中のモヤッと

 

SNSでもあってもそう。ナマモノジャンルはとってもデリケートなのは分かる。でもただ単に同性愛はタブーという考えだけで鍵アカウント推奨にしている人がいたら、それは本当に嫌だなぁって思う。

 

「本人が見たら不快に感じる」=彼らを自分と同じ異性愛者と勝手に決めつけている人の意見な気がしてならない。まぁ、比率的に実際に多くが異性愛者だとは思いますが。もしかしたら同性愛者もいるしれないという予測は、ちっともされていない気がして悲しくなる。

 

いやいやでも、そもそも恋愛対象が異性であれ同性であれ、自分の好きな人以外と勝手に恋愛妄想されるのは嫌だろうな、それは推しに対して失礼だろうな、と思うので、やっぱりデリケートに扱わなければ……と日々、自分に言い聞かせている。俳優の中にはもちろん恋愛しない人もいるだろうし。

 

こちら側の勝手な妄想をご本人に見せてはいけない、本当にだめな意味をしっかりと頭で考えてSNSを使っていきたい。

 

自分以外の立場になってみる

 

結果として分かったこと。この私がなかなか言えなかった「推しは異性にはもったいない」感情は、私がブログでいつも言っている「異性愛中心主義」「異性愛普遍主義」「強制的異性愛」という社会の仕組みに上手に隠されていた。

 

もしも「同性愛中心主義」の世の中だったら、私は「推しは異性にはもったいない」と何も考えずに言葉にしてしまうのだろうか。推しが異性愛者か同性愛者か両性愛者か無性愛者かそれ以外かと想像することなく。多数に身を置くというのは時にとてもこわいことだ。

 

なぜ「幸せになってね」が理解できないのか

 

推しでなくても、メディアやSNSには毎日のように様々な結婚報告が飛び交ったり、熱愛報道がなされている。その中でどうしても理解できなかったものが1つ。それが結婚・熱愛報道を受けた後に「おめでとう!幸せになってね」と推しに言う、ファンの方たちの言葉である。

 

「えっ、急に結婚します言われてすぐに自分のことのようにお祝いできる人、頭ン中どうなってんの!?」「大好きな推しの結婚を秒で受け入れて心から喜べるなんて、一体どんなご両親に育てられたらこうなるのかしら!」って思っていた。

 

思っていたのに、色々考えていると1つの考えに行き着いた。「あ……私これ、推しの相手が同性だったら、幸せになってね♡って心から思えるわ……」と。

 

推しに幸せになってね、という人たちがどういう気持ちで言葉を発しているかなんて、所詮人様の気持ちなのでなんとも言えないけれど、少なくとも私は、俳優たちが同性同士で結婚・恋愛した報告だったら大いに応援するし、その人と幸せに人生を歩いていってほしいと素直に思えるのだろう。

 

つまるところ、この世の多くの人たちが結婚した推しに向けて発する「幸せになってね」は、またもや!「異性愛を前提とした祝福の言葉」だから理解ができなかったのだ。

 

結婚します、の裏側

 

異性と人生を共にすると宣言した推しに戸惑うんだと思う。私の場合、結婚とか恋愛自体にショックを受けているんじゃないんだ。例えば「大切なお知らせ」とかいうブログを更新した推しに、私は異性愛者でした、とはっきりと証明されることがショックなのだ。

 

しかしまぁ、このショックは同性愛中心主義的考えだから気をつけよう。性はグラデーションなんだと、それぞれ違って、自分と同じ者はいないのだと。常にそう思っていないと大切な推しを推しとして守れない。

 

全て悟った上で、どう受け止めるか

 

芸能界を去ったあのイケメン俳優は、はっきりとカミングアウトはしていなかったけれど、セクシャリティな部分をクローズアップされたことが悲しかったと言っていた。

 

それを聞いて、世の中の異性愛者の女性のファン達は微妙な気持ちに陥ったのだろうか。彼に素敵なパートナーができて幸せに人生を送れますように、と心から思った人がいることを理解できない人が多いのだろうか。彼自身がはっきりゲイだとカミングアウトした訳じゃない、と現実から逃げている人もいるのだろうか。分かる、分かるよ。あーあ、私も逃げたい。まだ推しはノンケだと、はっきり口にはしていなかったはず。

 

去年カミングアウトした若手俳優もそう。異性愛者の女性ファンはもちろんいたと思うけれど、いまどういう心境で応援し続けているのだろう。もう推すことをやめた人もいるのかな。でもまぁ、あの子の場合は普段から隠せてなかったね。Twitterでは「今さらカミングアウトってなにを言い出すの、あなたはあなたでしょ。てかみんな知ってたしw」というファンが多くて安心したのを覚えている。

 

これまでに書いたことは同性愛者全体の考えではない。レズビアンであり腐女子でありオタクである私個人の考え。他にも推しの結婚や恋愛に関していろーーーんな考えや感情がこの世にはあるのだと思う。同性愛者異性愛者関係なく、色んな人の想いをもっと知りたい。だって推しが好きという感情は、共通だと思うから。推しが大事だからこそ、ここまで深く掘り下げて考えてしまった。

 

異性愛者だと分かった時点で必ずショックを受けてしまうことは分かりきっているけれど、それでも推しの幸せを祝福できるぐらいにでっかい人間になりたい。今日の話はここまで。読んでくださってありがとうございました。

同性カップルが子どもをもつということ

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昨日は色々と考えさせられる日だった。

パートナーと、子どもをもつことについて考えた。私たちはどちらも女性で、だからどちらもママになりたくて、女性を孕ませたいという感覚はない。妊娠して、お腹が大きくなり、そこに命が宿っている感覚を味わってみたい。

私のパートナーは子どもをもちたいとは思っていない。でも私は子どもをもちたいと思っている。そんな2人が付き合っているという事実だけが、私たちにとっては正しいことで、どちらの考えも否定されるべきではないと思っている。

久しぶりに、泣いた。どうにもならないことで泣いた。里親という選択肢もあるけれど、愛する人との子どもが欲しいという切なる願いがどこにも届かなくて泣いた。不妊治療をしている異性カップルと同じ感覚なのかもしれない、と一瞬思ったけど、やっぱりちょっと違う。だっておそらく、私の今の身体は精子が入ってこれば妊娠できる身体だもの。作ろうとしてみないともちろん分からないけれど、そうできるように生理がきて、胸が膨らんで、いつのまにかアラサーになって母性がピークに達している。それなのに、私は子どもを作れない。

同性愛者が子どもをもてる未来が無くはない、というドキュメンタリー番組を一緒に見た。NHKの番組で、ブレイクスルーFile.39『会えるはずなかった 私の子どもへ』というやつ。

 

www.nhk.or.jp

 

iPS細胞から、精子や卵子のもとになる細胞を作ることに成功した、ようするに男性の皮膚から卵子が、女性の皮膚から精子が作れるような未来が現実味を帯び始めているらしい。まぁこれは2年前の番組で、今はまだ日本で同性でも結婚できるかどうかの議論にも至っていないからね、多分、私の妊娠可能な時代では無理なんでしょうけど。


その番組の中のカップルも、子どもをもつということに対しての価値観の違いがあるようだった。なんか私たちに似てるね、なんて話しながら、最後まで一緒に見てくれた。彼女たちが2人の遺伝子のデータを電子画面上で受精させて、会えるはずなかった子どもたちに会えたのを見たとき、泣いたのは私だけだった。

別にそれが悲しいとかそういうことじゃない。私がなぜ泣いているのか、あなたがなぜ泣かないのか、そういうことをパートナーとずっと穏やかに話し合っていきたいな、と思う。自分たちの幸せって、本当のところはなんなんだろうって、考えて考えて考えて、それでもう死ぬときに「ああ、これだったのかも」って思えるように。


その中で、私たちを切なくさせるような作品を考えた女性が言っていた。こういったものを世間に提示して、同性カップルが子どもをもつことについて社会に考えてもらうきっかけにしてほしい、と。命を物理的に創り出すということについて、もっと議論してほしいと。

一時的な男と女の快楽だけでこの世に産み落とされて愛を知らずに大きくなって、人を憎みながら生きていく子どもと、あなたに会いたくてたまらなかったと愛し合う2人に抱き締めてもらえる皮膚の細胞から生まれた子どもと、どちらが幸せなのかな。

もちろん異性カップルで、子どもの誕生を信じ続けて、やっと生まれてきた愛しい我が子に愛情をたくさん注いで暮らしている人がたくさんいることは知っている。私もそうやって育てられてきた。パパとママが恋愛をしてくれたから私がいる。精子と卵子が出会って生まれる、生命の誕生は神々しい仕組みだとは思う。神秘的だ。

だからね、虐待をする人から、卵巣も精巣も剥ぎ取ってやりたいと思う。一時的な快楽に身を委ねた結果、女の身体に命が宿ってしまって。生まれてきた赤ちゃんの可愛い顔が、可愛い身体が殴られて、高いところから落とされて、泣いても泣いてもつねられて、たばこの火で白い肌を焼かれて、水を飲んでしまって苦しいのに浴槽に沈められて、口を塞がれて息ができなくて、死にたくなるほどの空腹のまま放っておかれて。外の空気が肺に入った途端に置き去りにされて。そんなことをするために命を造る仕組みを使わないで。お願い。もうこれ以上、悲痛な声で許してと叫ぶ子どもが増えないように、精子も卵子も作れない身体になってほしい。虐待をしてしまう大人が育ってしまう社会についても議論をしてほしい。お願い。


親からのたっぷりの愛情が、子どもを笑顔にするのなら、両親が異性でも同性でも関係ないんじゃないかしら。それが、大阪市があの男性カップルに出した答えなんじゃないのかしら。

 

www.nikkei.com

 

「ママ、ママ、どっちもだいちゅき」
「パパ、パパ、おにんぎょうさんであそぼう」
「ママ、パパ、やきゅうしよう」
「おばあちゃん、かたたたきちたげる」
「ママ、きょうがっこうでね」
「パパ、そだててくれてありがとう」

たくさんの子ども達が、笑顔になれる家庭が世界中に増えますように。

今の私は、同性カップルでも家庭をもつことができるなんていう可能性を信じてみたり、もしもこうだったら、という話をすることでしか、健全な精神を保っていられないんだと思う。卵子がいま1番元気で、妊娠しやすい時期だからかな。夢を見ていないと自分のこの身体は子どもも作れない可哀想な身体だと勘違いをして煙草を吸い始めてしまったときを思い出してしまう。喫煙をやめられたのは、あなたの身体が大事だよ、と言ってくれたパートナーの励ましだったな。

こんな身体を、あなたが愛してくれるのなら、まだ生きていてもいいかもしれない。ああ、いつもみたいに膨らんでもいないお腹を、あったかい手で優しく撫でてほしい。